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2013年7月24日 (水)

真・MFC千夜一夜物語 第95夜 MFCはデジタルか?アナログか? その1

今回からMFC(マスフローコントローラー)のデジタルとアナログに関してのお話です。

 

電源のお話の際に少し触れましたが、現在の新製品の出荷比率ではデジタルMFC(ディジタルMFCとも表記されます)が主流を占めているMFC業界です。

ところが、このデジタルMFCの使い方は、実は真っ二つに分かれています。

「使い方」=「MFCへの設定信号(SV)と流量信号(PV)の伝え方」のことです。デジタル通信で使うべきか?それとも従来通りアナログ制御系で使うべきか?皆様 どう思われますか?実はこれもすごく悩むところなのです。

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本来MFCの信号はアナログ DC0-5Vが最も使われる頻度が高かった事は、以前のお話で触れたかと思います。というか、MFCが産まれた当時は、アナログ信号しかなかったのですから・・・むしろ、アナログ信号でも、4-20mAや、DC1-5Vになぜしないのだ!という論争はあったのですが・・・・

 

そんな最中、世の中にデジタル制御化されたMFCが登場します。

Decoの記憶が正しければ、その1号はエステック社(現:堀場エステック社)のF1シリーズだったかと思います。なぜ覚えているか?と言いますと、展示会でフォーミュラカーとキャンギャル風のコンパニオンさんがいて盛大にPRしていたから・・・かもしれません。

(当時の関係者の方々 Decoの脳内光景が間違っていたら、ごめんなさい)

この画期的な1号デジタルMFCで提唱されたのが、デジタル制御、デジタル通信で動くMFCでした。(余談ですが、"FORMULA 1"を想像させるF1という名前の象徴する通り、マルチ検量線機能、全流量域高速応答など今のMGMRの始祖というべき先進のフラッグシップ的内容だった・・・はずです。すいません。実は手元に全く資料がないのです。どなたか教えていただけたら幸いです。)

 

これで一気にデジタル通信花盛りとなったか?と言うと・・・そうは簡単にいかないのがMFCの世界なのでした。次回に続きます。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan

 

2013年7月22日 (月)

真・MFC千夜一夜物語 第93話 【MFC用語辞典】Part1

当ブログではMFC(マスフローコントローラー)の四方山話をさせて頂いています。

今回は休憩&今までのおさらいの意味で【MFC用語辞典】として過去の連載で使った言葉に再度簡単な説明とコメントをつけて取り上げてみます。

MFC

Mass Flow Controllerの略語。訳すと「質量流量制御器」

・内蔵する熱式センサーが、ある条件下では疑似質量流量を計測できる事を利用した流量制御器

・日本ではよく「マスフロー」と呼称される

・スタンドアロン機器に見られがちだが、電源&ガス供給条件に性能を左右される

・トラブルの原因としてやり玉に挙がることが多いが、実は無実なこともあるかわいそうな機器

・あくまで流量を制御するだけであり、ポンプのように流量を作り出すことはできない

MFM

Mass Flow Meterの略語。訳すとそのものずばり「質量流量計」

・内蔵する熱式センサーが、ある条件下では疑似質量流量を計測できる事を利用した流量計

・「マスフロー」と一般的に呼称された場合、MFMではなくMFCであることが多く、マイナーな存在

・流量表示だけならば、電源不要なフロート式流量計が依然として強く、マイナーな存在

・MFCには仕様圧力条件があるが、MFMでそれを明記してい無いことが多い。だからといって真空から耐圧限界までで性能保証できているかは微妙な所

 APC

Automatic Pressure Controllerの略語。訳すと「自動圧力制御器」

・MFCとは似て否なる用法の物なので、誤用しないように

・MFCの流量センサーを圧力センサーに置き換え、流量制御バルブで作り出せる範囲の流量ベースで圧力を調整するMFCの従兄弟みたいな機器

・MFCメーカーならどこでも開発できるが、必ずしも性能がいいとは限らない

・レギュレーターとの違いは、ぱっと見は電気式と機械式の差だが、むしろガスを流さない状態で調圧できるか?できないか?が重要な差=ガスの流れを調整することで、その上下流に圧力形成するのがAPC

NO

・ノーマリオープンNormally Openの略語

・MFCの場合、非通電時に流量制御バルブが全開状態となることをいう

・電気回路の故障でバルブへの通電が断たれた場合も全開となるので要注意

・反面、バルブが全開ならばパージはしやすいため、周辺の空圧弁との組み合わせ次第

・ある種類の装置以外では、使用されることは少ない

NC

・ノーマリクローズNormally Closeの略語

・MFCの場合、非通電時に流量制御バルブが全閉状態となることをいう

・「故障したら閉」は安全に思えるが、MFCのバルブに完全な締め切り性能が無いからガスシャットオフは保証されていない、パージラインがないと残留ガスを抜けないという盲点がある

MFC出荷数の8割以上がNC

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan

2013年7月19日 (金)

真・MFC千夜一夜物語 第92夜 もしもMFCに水がかかったら?・・・その2

MFC(マスフローコントローラー)で防水仕様はないのか?というお話です。

前回、JIS(日本工業規格) 電気機械器具の外郭による保護等級(JIS C 0920)及びIEC(国際電気標準会議) エンクロージャによる保護等級(Degrees of protection provided by enclosures (IP Code)/IEC 60529)で定めるところの規格「IPコード」をご説明しました。

「じゃあ、現在このIPコードに対応したMFCってあるの?」というご質問が当然あるかと思います。どちらかというと半導体装置がメイン用途なMFCにとっては、ちょっとニッチな分野になるのですが、本日はそんなMFCのご紹介です。 


ブルックスインスツルメントさんのSLAMf50シリーズは、IP66&NEMA 4Xに対応した耐候性能を持つ一風変わったMFCです。

流量のフルスケールレンジはN2換算で3CCMから2500LPM(L/min)という広い範囲から選択して頂けます。

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IPX6級と言うことは耐水型ですね?

「あらゆる方向からの強い噴流水による有害な影響がない」という仕様です。

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一般的な産業用の感覚で言われるところの「防水」性能としては、充分ではないでしょうか?まさかガスMFCを単独で水没させて使用される用途があるとはDecoには思えないのですが・・・

また、このMFCのもう一つの特徴は専用電源に関してです。

このシリーズは計装機器に使用される電源としてはメジャーなDC24Vに対応していることです。つまり前の章でお話ししました従来のMFC専用±15VDC電源を準備頂く手間がありません。流量信号も0-5VDC電圧信号だけでなく4-20mA電流信号、RS485DeviceNetなどの通信対応できるモデルも選択できます。

 

ブルックスインスツルメントさんの製品SLAM50シリーズをご紹介しました。詳細はこちらからご確認ください。

今回資料提供を頂きましたブルックスインスツルメント株式会社様には、この場を借りて御礼申し上げます。

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2013年7月18日 (木)

真・MFC千夜一夜物語 第91夜 もしもMFCに水がかかったら?・・・その1

もしもMFC(マスフローコントローラー)に水がかかったら・・・というお話をしましょう

MFCは空圧弁などの純粋な機械部品で構成された配管コンポーネンツと異なり、電子部品を搭載した流量制御機器です。その為、当然水がかかった箇所から浸水した場合、基板でショートしたりして機能を喪失する場合があります。

また、「水」と書きましたが、全てが無色透明な液体でも純水とは限りません。もし腐食性の強い液体で、ボディのSUS316LSUS304、ケースの樹脂を侵す性質ならば、なおのこと大変です。そういった場合は、慌てず騒がず・・・まずMFCへのガスへの電源供給を絶ちましょう。その状態で、できる限りのパージを行い、水がかかってしまった状況、箇所などを克明に記したメモを付けて、メーカーの修理・サービス部門に送ってくださいね。

 

こういったトラブルを想定してか?たまに「防水MFCってないの?」というお問い合わせを頂くことがありました。

恐らく時計や携帯の宣伝で使う「完全防水」をイメージされているのかと思います。しかしながら、外部からDC電源を供給しなくてはいけない機器であるMFCで、そもそも「完全防水」という定義の製品は存在しません。しかし、防水性能を段階的な等級表記で表し、ある程度の性能を謳った製品はあります。

JIS(日本工業規格) 電気機械器具の外郭による保護等級JIS C 0920及びIEC(国際電気標準会議) エンクロージャによる保護等級Degrees of protection provided by enclosures (IP Code)/IEC 60529)で定めるところの規格で「IPコード」と呼称します。IP65などという表記を見たことがある方もおられるかもしれません。この表記で数字の十の位は、人体、及び固体に対する保護等級(外来固形物いわゆる防塵)、一の位が水の浸入に対する保護等級(防水)ですので、防水だけを表記する場合はIPXという防塵の等級表示をXに置き換えて使用することもあります。

簡単にまとめますと、以下の内容になっています。

 

*米国のNEMANational Electrical Manufacturers Association)が定めた等級もあります。NEMA 4X等と表記されます

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時計などで「完全防水」というのはこのIPX8(JIS防水保護等級8級)仕様を指しているのでしょう。「水中型」ということですね。

ほう、水中型・・・じゃあ、MSM-07ズゴックはIPX8仕様なのかぁ・・・という冗談はさておき・・・

実際水がかかるような環境で使用できるMFCとは、どんな物なのでしょうか?

次回、実機をご紹介しながらご説明しましょう。

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2013年7月17日 (水)

真・MFC千夜一夜物語 第90夜 地震が来たらMFCをどうしたらいい?その2

MFC(マスフローコントローラー)を使用している最中に大規模な地震が発生した場合、どうしたらいいでしょうか?というお話です。

 

危機回避の原則は「君子危うきに近づかず」です。

一見消極的ですが、大事な自衛策ですね?地震だけでなく台風、竜巻による被災時も地震と同じです。どちらの場合でも二次的な被害として長時間の停電が懸念されます。

「MFCは通電してこそ動作する、停電したら全く機能していない」ということを忘れないでくださいね。

 

それでは復旧が進んだ状況=少なくとも配管のリークチャックが完了していることを前提で、簡単なMFCのチェック方法をお話ししましょう。

 

MFC本体のダメージを確認する方法

MFC、特に内蔵している流量制御バルブは精密な構造です。大きな揺れで密かに一番ダメージを受けやすい箇所でもあります。復旧が進み、MFC周辺のリークがないことが確認され、ガスが再投入される際に、もし可能ならばMFCF.S.0%と100%の信号を入れてみてください。(MFCを搭載した装置自体の復旧、再起動プロセスに対して問題がないかは必ず個々に確認してください)

 

0%設定でちゃんとガス流量表示は0になりましたか?

0にならなかったら、ガス供給圧が復旧前よりかなり高くなっているか?またはMFCのバルブが衝撃で変位してしまい、締め切りが悪くなり出流れが生じている可能性があります。

 

F.S.100%設定でちゃんと100%の表示が出ましたか?

流量がいつまでもF.S.100%に達しない場合は、ガス供給圧が復旧前よりかなり低くなっているか?または衝撃でMFCのバルブのリフト量が衝撃で小さくなってしまっている可能性があります。

 

 それぞれの症状が確認された場合、ガス供給圧力表示でMFCへの供給圧を再確認し、事前と変化がないようでしたら、MFCに不具合が生じている可能性があります。一度メーカーさんで点検してもらった方がいいかと思います。ここで復旧を急ぐからと言って、MFCの不具合確認、修理点検を自前で行なう事は避けてください。バルブ・オリフィスのギャップは微細なものですので、一度衝撃で不具合が生じた場合は、とても現場で修理できるものではありませんから。

 

 MFCの一番振動に弱い箇所をチェックするだけでも、復旧後のMFC動作不良によるプロセス再停止を事前に避けることができます。

 

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2013年7月16日 (火)

真・MFC千夜一夜物語 第89話 地震が来たらMFCをどうしたらいい?その1

MFC(マスフローコントローラー)を使用している最中に大規模な地震が発生した場合、どうしたらいいでしょうか?

東日本大震災の惨禍からの記憶もまださめやらぬ状況ですが、日本列島のどこにいても地震からは逃れられないと思って備えを怠ってはいけないという教訓であったと思っています。

当然ですが、地震が起きたら自分自身の安全確保が最優先です。また、所属されている団体により避難誘導、緊急時の設備への対処方法が定められていると思いますので、それを遵守して頂くのが大前提です。また、MFCは、装置の一部品である事が多く、緊急時は装置側からのインターロックが働き、制御が安全方向に行われ、停止しているはず、ということも前提にお話させていただきます。

 

・最悪を想定して対処をはじめよう

トルク管理された組み立て工程で製造されているMFCですが、あくまで内部圧力が1MPa~真空に耐えるための構造であり、阪神大震災、東日本大震災クラスの激しい外部からの衝撃が長時間続くことは想定されていません。どこが緩んで、どこが破壊されてガスが漏れ出しているかわからない状況・・・という最悪の状況を想定して、対処を始めましょう。

 

・リークチェック前に下手にさわらない、取り外そうとしない

ガスは目には見えません。つまり、停止しているMFCがどういう状態なのか?見た目ではわからないと言うことです。こういった状況で一番恐いのはガスリークです。残留しているガスが、地震で緩んだ配管継手やシール部から漏れ出す可能性があり危険です!リークチェックが最優先です。     

 

・安易に再始動(電源投入、ガス再注入)しない

NC=ノーマリクローズ仕様のMFCや遮断バルブは緊急時に閉止します。

*NO=ノーマリオープンタイプの場合は全開になります。

つまりガスは閉じ込められた状態にあります。その状態で前述のようにガスリークの有無を確認せずに、再起動をかけるのは二次災害の元です! 

  

・日頃から使用しているMFCがNOか?NCか?を理解しておく

先ほども触れましたがNCは非通電時に閉止しますが、NOは逆に全開になります。使用されているMFCがどちらなのか?により安全確認、復旧の対処も異なってきます。ラベル・型式などで予め確認しておかれるのがよいでしょう。

わからない場合はシリアル番号でメーカーに製造履歴を問い合わせる方法もあります。


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2013年7月12日 (金)

新・MFC千夜一夜物語 第88夜 MFCの流量制御は簡単なようで・・・ その3

MFC(マスフローコントローラー)の流量制御手順のお話です。

今日のお話は、先週の続きで、注意しなくてはいけない点=2.MFCの制御バルブの出流れはしていないか?です。MFCのバルブの出流れ=閉塞不良が生じていると、いったいどんな問題があるのでしょうか?最近おなじみの図で見ていきましょう。

Mfc111019

                       

MFCのバルブと下流側バルブの間に貯まったガスは、MFCでは制御できないというのが、先週お話しした1番目の問題でした。それを解消するためにはMFCの二次側を真空に引いて残留ガスを抜いてしまうことでしたね?ところがMFCの流量制御バルブのオリフィス部に異物が付着し、ギャップが生じていたり、使用しているMFCが第1世代のサーマルバルブタイプの場合、完全にMFCの流量制御バルブではガスを閉じきる事ができず、チョロチョロとガスが出流れしてしまいます。

注意!そもそもMFCのバルブは流量制御性能を重視していますから、最新型MFCで正常動作していても、空圧弁や手動弁のように完全に締め切ることはできません。


 そうなりますと、せっかく真空に引いたMFCと下流バルブまでの部分(図中の赤い太線)に、また気がつかないうちにガスが貯まっていき・・・ガスを流し始めたときに、またまた制御できない突入ガスが・・・という現象が起きてしまいます。

 

この対策としては、流量制御開始時にいきなりチャンバーへガスを導入せず、排気ラインにいったん流して、安定してから切り替える「捨てガス」という手法が従来から採られています。経時変化や、なんらかのトラブルでMFCの流量制御バルブが出流れを起こしてしまう可能性がある以上やむを得ないことですが、高価な稀少ガスを捨てることや、プロセスで無駄な時間要することが、最近では問題視されています。

この現象で生じる突入ガスの量は①ガスの供給圧力×②MFC流量制御バルブと下流側バルブの間の配管容積(配管径と長さ)で決まります。ということはこの部分のボリュームを極力小さくする事が、現象を押さえ込むキーということになりますね?

ここ数年、MFCメーカーさんが接ガス部の加工技術に工夫を加えたり、またガス配管を集積ユニット化することで配管ボリュームの削減がなされています。また、本体に流量制御バルブに加え、シャットオフバルブを内蔵することで、極限までこのボリュームを減らしたモデルが市場に提案されたこともあります。

ただ、現実にはここのボリュームをゼロにするのは難しいです。使う側がこの問題に関して認知しているか?否か?で大きく問題が発生した際の対応が変わってきますので、頭の片隅にでも置いて頂くと幸いです。

 

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2013年7月11日 (木)

真・MFC千夜一夜物語 第87夜 MFCの流量制御は簡単なようで・・・ その2


MFC(マスフローコントローラー)の流量制御手順に関するお話です。

前回「ガスを流す前にMFCに流量設定信号を入れてしまっている」というミスを犯さないようにというお話をしました。

                       

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MFCでの流量制御を始める際の手順

 MFCの流量制御バルブを全閉にする(強制閉信号を使うか、ゼロシャット機能があるMFCでしたら流量設定を0にする)

 バルブ1→2の順番でゆっくり開ける

 MFCに必要な流量設定を入力して、流量制御を始める

ただしこの方法には少し落とし穴があります・・・


注意しなくてはいけないのは、以下の2点です。

1.MFCを含む配管内部のガス排気=真空引きは終わっているか?

2.MFCの制御バルブの出流れはしていないか?

何のことだろう?と思われるかもしれませんが、まずは下の図を見てください。

Mfc111012

MFCと、その下流のバルブに注目してください。この部分は、MFCの継手→配管→バルブの継手という形でつながれているかもしれませんし、直接MFCの下流側継手がオスタイプで、バルブの上流側継手がメスになっていて、相互を接続している場合もあります。この部分(図では赤い太線矢印)の体積が大きければ、大きいほど、(つまり両者の距離が離れていれば、いるほど・・・)ここに残留するガスの量は多いということになりますね?そして問題は、「MFCはこの部分を流量制御することができない!」という事なのです!

 

 MFCの流量制御開始前に、ここにガスが残留していた場合、手順②でバルブを順番に開けていくと、MFCの流量制御信号は0で、内部の制御バルブも全閉なのに、なぜかガスが一気に流れる!という現象が起こります。もちろんMFCが制御を始めるまでのわずかなタイミングですが、そこで起きるガスサージ(おかしな喩えですが、ガスの津波みたいなものです。) は、分析用の微少流量制御が必要な場合や、チャンバー内部のワーク周辺の真空度保持が重要な案件では深刻なトラブルを起こす可能性もありますし、またチャンバー内部のパーティクルを巻き上げて、ワークへ付着等という歓迎されない現象も引き起こしかねません。

 

 この対策は、MFC二次側のガスを完全に排気しておくことで改善されます。ところが、もう一つのポイント MFCの流量制御バルブに出流れがあった場合は、これまた大きなゴタゴタに発展する可能性があります。これに関しては次回お話ししましょう。

 

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2013年7月10日 (水)

真・MFC千夜一夜物語 第86夜 MFCの流量制御は簡単なようで・・・ その1

今回からMFC(マスフローコントローラー)の流量制御手順に関するお話です。

この手順というのは大変重要な物です。ある手順を間違えた、例えばバルブの開閉順番を誤っただけでも大きなトラブルが発生する可能性があります。簡単なフローを見ながらお話ししていきましょう。

 

Flow

真空排気されたチャンバーに、あるガスを一定流量流し込むシステムの簡単なフロー図を書いてみました。(今回の説明に関係のない機器は省略してあります。)


【質問】

 真空にひかれたチャンバーで、バルブ1、2は閉、MFCには流量設定器を通じて閉のコマンドが入ってバルブは全て閉止状態です。チャンバーには真空度の急激な変化で破損してしまうような繊細なワークが入っています。さて、ここからガスを導入するとき、どういう手順で操作しましょうか?


【回答1】

①MFCに必要な流量設定を入力

②バルブ1と2を一気にあける

 【回答2】

 MFCになるべく小さな流量設定を入力する

 バルブ1→2の順番でゆっくり開ける

 MFCの設定信号を必要な流量までゆっくり上げていく

 

判定:両方とも×です!

なぜでしょうか?

特に回答2は繊細なワークの性質に合わせて、丁寧に作業しているように思えますが・・・

実はこの2つの回答は、ラフに操作しているor丁寧に操作しているの違いに見えて、実は両方とも大きなミスを犯しているのです。

それは「ガスを流す前にMFCに流量設定信号を入れてしまっている」というミスです。

MFCの中で起きている状況を簡単な図で説明しましょう。

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回答1、2の共通点は、バルブで遮断されてガスがまだ流れていない状況で、MFCに設定流量の多少の差はあっても「流量を流しなさい!」という指示を先に入れてしまっていることです。この指示をもらったタイミングで、まだガスは流れていませんからMFCのセンサーは流量=0を出力します。つまり流量設定値(SV)の要求する値に流量出力(PV)が到達していないので、MFCの制御系は流量制御バルブに「もっとバルブを開いてガスを流せ」という指示をします。でも、そもそもガスが流れていないので、どこまでバルブを開いてもSV=PVになることはないので、流量制御バルブはこれ以上開けないポイント=全開で待機することになります。

 

こんな状況のMFCにバルブを開いてガスを導入すると、果たしてどうなるでしょうか?

MFCのバルブが全開時に流してしまう流量が一気に流れてしまうことになりますね?もちろんガスが流れ始めれば、MFCはセンサーが流量を感知して、SV=PVになるよう制御を始めますので、流量制御バルブを閉める方向に制御して、なんとか設定流量通りにしようとします。ですが、それが収束するまでにMFCから流れ出した大量のガスの行方は・・・全てチャンバーへ向かうことになりますね。

この現象に「チャンバーの容積が小さい」「MFCのフルスケール流量が大きい」「チャンバー内のワークが急激な圧力上昇で破損する性質である」等の条件が不幸にも重なると、悲惨な結果を招く可能性が大きいのです。

 

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2013年7月 9日 (火)

真・MFC千夜一夜物語 第85夜 MFC専用電源のこれから~PCでの直接制御

 MFCの電源に関するお話の最終話です。

最近のスマホは便利で良いのですが、いざというときにタッチパネルでの操作入力がうまくいかず苦労された方はおられませんか?もしかしてDecoが鈍いだけでしょうか??(汗

今回のお話は、最近増えてきているPCで直接MFCを制御する方法に関してです。

 PCで直接制御できるというのは、PCからコマンドを送って流量設定したり、PCで流量表示をさせたり、ログを残したり、積算流量をカウントさせたりする事を意味します。それに対応しているのは、本体にデジタルインターフェイスを持つデジタルMFCと言うことになります。

アナログMFCですと信号をアナログからデジタルに変換する機器を介せば、同じようにPCで操作が可能ですが、その分のコストが必要になります。最近はMFCもデジタル比率が急激に上がってきていますので、価格もお手頃になりましたので、もしPCでMFCを制御したいという思惑でしたら、迷わずデジタルMFCを選択されるべきかと思います。

MFCのデジタルとアナログに関するお話は長くなりますので、また別の機会を設けさせて頂くとして、今回は電源との接続がどのような形になるのか?一例を見て頂きましょう。

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 大変シンプルになりますね?

MFCのデジタル通信インターフェイスは、RS232CRS485に始まり各種フィールドバスにまで展開しています。フィールドバス対応MFCは電源規格も以前お話しした24VDCとなり、±15VDC専用電源も必要なくなる事もあります。

こういった周辺機器の削減にプラスして、デジタルMFCが提供できる機能はPCでのソフトに依存してどんどん拡張できるわけですから、昨今の大学研究機関では非常に喜ばれる存在となってきています。

 でも、MFCは目に見えない危険性の高いもの=ガスを制御する機器であると言うことを忘れないでください。PCのみで制御している場合、PCにトラブルが生じた場合はMFCの安全性に直結するリスクが生じてしまうことを見落としてはいけません。

「ノーマリクローズのMFCだったら、最悪電源を落とせばいいでしょ?」というご意見もありますが、MFCの閉止性能はバルブほど高くはありません。

上手くガスを遮断できたとしても、今度は安全にガスを配管から抜き出し復旧するにはMFCを再度制御してやる必要があります。ガスはガスボンベの中にある以外は存在しない状態まで戻してこそ復旧と言えるのです。

シーケンサー、タッチパネルで制御される装置でも、必ず非常停止ボタンが別にあり、また復旧プログラムを動かす為のサブシステムが仕込まれています。下図のような従来のMFC表示設定器とPCとの併用が安全上は望ましい姿かとDecoは考えています。

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 ただ、これはどこまで危機予測・危機管理をするかという個々の考え方の問題ですので、決して強制するわけではありません。システムを運用・管理される方々でよくリスクを検討して決めて頂ければと思います。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan

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