真・MFC千夜一夜物語 第138話 MFC最大の弱点とは・・・ その2
MFC(マスフローコントローラー)最大の弱点は何でしょうか?実はそれは温度と圧力の変動です。というお話を始めました。
MFCが質量流量制御をするためにはある限定条件があり、その4つの条件を上げた中で④番の流体の温度=周囲温度であること が、皆様にも意外なポイントであったかもしれませんね。
今、MFCに流れている流体の温度は、果たして室温と同じでないと何が起きるのでしょうか?今回はここをご説明しましょう。
一言で言えば、MFCの制御流量がおかしくなる可能性が生じます。
どうおかしくなるのかと言うと、流量設定値(SV)=流量出力値(PV)≠実流量値という現象が起きる可能性があります。つまり、100SCCMの設定信号を入力したMFCから100SCCM流しているという流量出力がリターンされ、表示されていても、実際には98SCCMや110SCCM流れてしまっているという現象が起きている可能性があるのです。
MFCが引き起こすトラブルで、一番ユーザーさんにいやがられるのがこの流量設定値(SV)=流量出力値(PV)≠実流量値という現象です。なぜならば、流量トラブルが起きている兆候がMFCの表示を確認しているだけでは全くつかめないからです。折角、流量設定値(SV)≠流量出力値(PV)でアラーム出力が出てインターロックが動作するような仕組みを作っていても、このトラブルが発生すると全く無意味です。
「実験データを見ると、どうも夏にMFCのガス制御がおかしくなっているような・・・」
「冬場にMFCを使用するラインで作られる製品の歩留まりが悪い気がするな・・・」
こんな経験をお持ちの方はおられませんでしょうか?
非常に気味の悪い話ですが、もしかしたら今回のお話しするMFC最大弱点がそれに絡んでいるかもしれません。
MFCの限定条件④番と①番 ある決められた温度範囲に限ること は実は同じ原因からのものです。
どちらも温度に絡みますね?
既にお気づきの方もおられると思いますが、ゼロ点ズレの記事で少しお話をしました、MFCセンサーが受ける温度影響というのが大きな原因なのです。
連載冒頭で「Mass
Flow Controllerなんて名称自体が間違っていると!!」(=MFCは実は完全には質量流量を測定できていない)というDecoが指摘した内容の核心部につながります。(長い伏線でしたね。)
質量流量ならば温度圧力の影響を受けずに不変であり、当然質量流量計の名を持つMFCには温度制限、温度影響は無いという解釈が正しいはずですが・・・現実には温度影響はあり、それを補正して初めてMFCはマスフローコントローラー(質量流量制御器)として機能するのですが、逆に言えばその温度補正が適切に行えない条件が揃った場合、それこそがMFC最大の危機なのです。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan
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