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2013年6月21日 (金)

真・MFC千夜一夜物語 第73夜 火を噴くマスフロー事件<後編>

Decoの経験したMFC(マスフローコントローラー)の夏の怪事件後編です。

とあるお客さんに販売したMFCが突然流量制御不能の全開状態になり、流していた燃焼ガスの流量過多によりバーナーから大きな炎が!!・・・という事件が続いて発生したのですが、なかなか原因が掴めない迷探偵Decoでした。

そんな中、2年目の夏にも事件は発生しました!必ず夏になると起きるこの怪事件・・・

今回も現品を回収して調べてみたのですが、MFCの流量センサーの圧力損失はやはり出荷時より大きくなり、明らかに何かが詰まった為、流量が減少したと感知したMFCはバルブを全開にしてしまい、大量のガスが流れてしまった・・・というところは同じでした。

こうなったら「センサー内面をSEM解析しようか?」との声まで上がり、お客様の好意で手配して頂き、その方向で進める事になりました。

そんな中、クーラーがまともに効かない暑い会議室で、お客様とDeco達スタッフはその日も討論を続けましたが、全く結論が出ません。目の前の金属トレイに引いた無塵紙の上には、分解されたMFCのセンサーパーツが置いてありました。どれだけそれを睨んでも回答は出てきません・・・朝から始まりいつ終わるともしれない議論の中、苛ついたDecoは、気がつくと、目の前のトレイにあったセンサーのOリングをボールペンの底で無塵紙に押しつける形で頬杖をついていたのです。

「あっ!・・・この姿勢はまずい・・・リングが潰れちゃうじゃないか・・・」と思って、ボールペンをどけたDecoは「おや?」っと、叫びました。無塵紙にくっきりとOリングの形でシミが付いているではありませんか!触ってみるとリング自体が濡れており、このシミはリングを潰した為に、できたように思えました。

そこで、無塵紙でOリングをくるみ、思いっきり万力で挟み込んだところ、先ほどより更に濃いシミが付いたのです。更にドライヤーで熱してみると、やはりシミは大きくなったのです。

そのリングは、通常のバイトン®ではなく、とある理由からオプション選定したEPDMでした。そこで今度は同じ大きさの標準品バイトン®リングを挟んで同様の実験を試みたところ、大して濡れません。

後日の解析の結果、確かにシミの正体はEPDMに含まれるオイルでした!

更にこの2種のリングの径を再測定して比較すると、微妙にEPDMの方が大きかったのです!本来バイトン®リングでシールするように設計していたセンサーチューブのリング溝に、若干大きい外径のEPDMのそれが入ることで、相対的につぶし量が大きくなってしまい、強く圧縮されていたのです。そしてその状態で夏の高い気温下に放置されると、より多くのオイルをリングから絞り出していたのです。

では、そのOリングから出たオイルはどうなったかというと・・・当然重力でセンサーチューブ外側を伝って下に降りていきます。センサーチューブの下端まで降りた場所は、バイパスと分岐してガスが流入するセンサー管入口です。流入したガスは、いわゆるエゼクターのような巻き込み効果を発生させ、入口周辺に溜まっていたオイルをセンサーチューブ内へと引っ張り込んでしまい、結果内径0.5mm程度の狭いセンサーパイプ水平部に残留しガスの流れを阻害していたのです。

夏に発生し、秋になると収まってしまう怪事件の主犯はリングの材質と径の選定ミスにあったのでした。運転を再開したときに多いのは、夏期で休暇で停止時間が長く、その間に多くのオイルが溜まっていたのを一気に吸い上げた結果だったのでしょうか?

なんとも不思議な事件でした。皆さん、機器を構成する材料を変更する際は一面だけを見ずに、色んな角度でリスクを検証しましょう。

人命は何よりも尊いものです。もし、自社のMFCが火を噴いて怪我人や死人が出ていたら・・・その時点でDecoはこの仕事を廃業していたと思います。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan

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