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2013年5月27日 (月)

真・MFC千夜一夜物語 第58夜 ゼロ点ズレ容疑者一人目~MFCの寿命?

MFC(マスフローコントローラー)のゼロ点ズレの原因のご説明を始めたいと思います。

その1として「センサー線の抵抗値変化」からお話しましょう。これはMFC自体の寿命すら左右する一番大きな問題になります。

以前お話ししましたように、MFCの流量センサーは、上流/下流の二対の巻線抵抗が、ヒーターと熱伝対の役割を果たしており、流量信号を取り出すためのブリッジ回路を形成しています。この二対の抵抗値バランスがとれている状態が=流量0です。流体が流れ込んでくると、上流側の熱を奪って、下流側に運んでいくことになり、熱バランスが変化します。この変化量が流量に比例する・・・というのが、MFCのセンサーに使用されている熱式流量計の基本原理でしたね。

ところがゼロ点ずれというのは、本来流量0でバランスしていなければならない筈の巻線の抵抗値が、個々の巻線抵抗値の経時変化により、均衡が崩れてしまっている場合に発生します。下図流体が流れていない状態であるにもかかわらず、の状況になってしまっているのですね。

Sensor2

                       

こういった現象は、一つにはMFCのセンサーの寿命が尽きた場合に発生します。通電状態では常に100近い温度に発熱しているヒーター部分ですから、何年も使用していると、どうしても経年変化が生じます。その変化が両方の巻線に同じタイミング、かつ同じだけ発生する幸運な出来事はありえませから、どこかで初期の抵抗値バランスは崩れてくることになります。

これにはメーカー差や、巻線自体の個体差もあり、一概に何年とは申し上げにくい性質があります。昔は1~3年、最近の製品はメーカーさんの努力でかなり安定が良くなってきていますので58年使えてしまいますが、機械物ですから永遠の寿命はありえません。

この現象への対処方法としては、前回お話ししたゼロ点調整用のボリュームや、ゼロリセットスイッチを用いて都度バランスを再調整してやればいいのですが、ただ、センサー巻線自体の寿命がきているとしたら継続的に劣化が起こり、「調整しても、調整しても、またしばらく経過したらずれている!」という状況になります。こういった現象が確認された場合、応急処置はゼロ点再調整で構いませんが、早期にメーカーさんに修理に出して頂いた方がいいですね。そうすればセンサーは交換され、新品にリフレッシュされて戻ってきますから安心です。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第57夜 ゼロ点の調整ってどうやってやるの?

 MFC(マスフローコントローラー)のゼロ点ズレへの対処方法として、ゼロ調整をする方法に関してのお話です。

ゼロ調整方法は大きく分けますと2つの方法があります。

お手持ちのMFCによって異なりますので、必ず各メーカーさんの取扱説明書を熟読していただいてからの実施をお願いします。間違った調整をすると、まずます流量がずれてしまう原因になりますから・・・

 1つめはMFC本体にゼロ点調整用の小さなボリューム(トリマー)があるタイプです。

いわゆる「アナログMFC」に多いのですが、MFCのカバー上面、もしくは側面に穴が空いていて、そこに時計ドライバー(マイナス)を差し込めるようになっています。このボリュームを左/右回転させることでゼロ調整が可能です。

ところが、これが言葉で書くほど簡単ではありません。まず、その調整用の穴を探すのに一苦労です。一箇所だけではなく複数箇所に穴があり、さてどれがゼロ点調整用か?と迷うような場合は慎重に進めてください。下手するとゼロ調整用ではなく、スパン調整用のボリュームだったりするといじったら流量そのものが狂ってしまいます。

やっとゼロ調整ボリュームのある穴を見つけたら、流量表示器を見ながら、表示が0になるようにトリマーを回して調整するのですが、行きすぎたり・・・戻ったり・・・「上手くいった!」と思ってドライバーを抜くと、またズレたり・・・Decoも苦労した覚えがあります。

 これは非常に微細な抵抗値調整をこのボリュームが受け持っているためで、コツとしてはチビチビ動かさず、1回大きく調整したい方向に大きく回してから、一呼吸置いてジワジワと戻していく方がいいみたいです。あと、道具なのですが、通常の金属製のドライバーを使用するより、高価で脆いですがセラミック製ドライバーを使用した方が確実です。これは金属ドライバーだと、ボリュームも金属なので接触している際に微妙な抵抗値変化がボリュームに生じてしまうから、と言われています。

 もう1つはMFC本体にゼロリセットスイッチが付いているタイプです。

最近のデジタルタイプのMFCに多い装備で、これは大変楽です。なんせスイッチを押すだけですから、作業者の技量差など関係ありません。便利になったものです。また、デジタルMFCでは、通信を通じてゼロ点をリセットできるものもありますから、PCや装置操作パネルからのコマンド入力による遠隔ゼロ調整操作も可能になります。

 ゼロ点調整時の共通した注意点があります。当たり前のようですが「ガスの流れがゼロの時にやっていただくこと」です。ガスが流れている状態でゼロ点調整をしてしまえば、そこが新しい流量の起点になってしまいますから、大変なことになってしまいます。

特にデジタルタイプはワンプッシュで調整できる手軽さから、「うっかりガスが流れている状態でやってしまった!」という事例が結構あります。シャットオフバルブを閉めたつもりが、そのバルブから微量の漏れがあり、それをMFCのゼロ点ズレと勘違いして調整されてしまい・・・等という事もありがちです。十分ご注意くださいね!こういったミスを防ぐためにも、ゼロ点調整の前にズレの原因を把握し、容疑者を確保してから、調整作業に入るようにしましょう。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第56夜 MFCのゼロ点は、なぜずれる?

今回からMFC(マスフローコントローラー)にとってある意味一番大きな問題である「ゼロ点ずれ」の問題を解説していきます。

ゼロ点がずれる事は、ただゼロがシフトしているだけではなく、MFCが制御する流量に影響を及ぼすことをお話してきました。見た目は 設定信号=流量信号となり、問題はなく、正常に制御できているはずのMFCに流量異常が生じているという事態は、非常に厄介なものです。

 ゼロ点ズレに関して以下の原因が考えられています。

 センサー線の抵抗値変化
MFCの流量センサーに使用されている二対の巻線の抵抗値バランスが崩れてしまっている


 
ガスの熱対流現象
MFCのセンサー管内部、もしくはセンサーとバイパス部で熱対流現象が発生し、あたかもガスが流れているように表示されている。(ガス特性に大きく依存)


 
流量制御バルブでの出流れ
MFCの流量制御バルブの前後に圧力差があり、制御バルブ閉状態でもわずかにガスが漏れ出している状態を流量センサーが感知している


 
誤調整
MFCのゼロ点調整ボリュームを調整する際に、誤って正確なゼロ値に調整できていない


 
設置環境要因の変化
MFCの設置場所の環境(温度、湿度)が変化している

 
その他 外部要因
MFCの流量表示計のゼロ点ズレや電送系でのノイズ影響、通信異常等の外的要因が存在する

一言に「ゼロ点ズレ」と言いましても、想定される原因は様々であり、当然その対策も変わってきます。早とちりして行った間違った対策は、事態を更に悪化させる可能性もありますので、MFCの構造と周辺機器に関する一歩踏み込んだ理解が必要です。そして、もう一言付け加えるなら「万能なものはどこにも無い」という事なのです。

それぞれの原因とその犯人捜しを始めたいと思いますが、かなり長くなるのでその前に、次回はゼロ点がずれた場合の対応策を先にご説明いたします。

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2013年5月22日 (水)

真・MFC千夜一夜物語 第55夜 ガスサージの防止方法 その3

MFC(マスフローコントローラー)の流量制御バルブが全開待機することで発生するガスサージの防止方法3回目です。

2回にわたってお話ししたバルブ強制閉スイッチを使用する方法は、その準備がなかった場合システムの改造が必要となり、少し厄介です。そこでもう1つの方法をご説明します。

 ガスライン閉止時に、必ずMFCへの設定信号を想定されるゼロ点のマイナス側へのズレ量より大きいマイナス信号を入力しておくという方法です。

  例えマイナス側でも設定信号<流量信号と常になるようにすれば、この現象が起きないわけです。ただ、この方法の面倒なところは、わざわざ05VのDCプラスの設定出力系に対して、DCマイナスの信号が出せるようにしなくてはならないという信号側への負担です。

 そこで多くのMFCメーカーは「ゼロシャット機能」「ゼロクローズ機能」という機能を搭載しています。(古い機種には未対応のモデルがあります!)

 この機能は、流量設定信号がある値以下になったら強制閉モードになるように設定することができる機能です。具体的には、MFCの「流量制御範囲」が概ね2100%F.S.であることを利用して、2%未満の信号が入ってきた場合、バルブ強制閉モードを自動的に作動させているのです。この機能を利用すれば、わざわざ強制閉機能用の接点や、信号を出力する工夫は不要で、設定信号を2%未満にするだけで簡単にバルブを強制閉にできます。

  ただし、ご注意いただきたいのは、この機能が作動する閾値は実はメーカーによって差があることです。2%以下といっても、1%だったり、0.5%だったり・・・つまり2%未満といっても、いきなり1.99999%で作動させると電圧信号の電送ロスによる誤差も考えられるので余裕を見ていると言うことです。この機能の有無はカタログでもわかりますが、具体的な閾値はメーカーに確認して頂いた方がいいかもしれませんし、実際のガス系でも検証して頂いた方が安全でしょう。

 この操作でMFCはバルブ閉止状態から、きれいな応答波形で立ち上がってくれます。(MFCの応答性能により差はありますが・・・) ガスサージを起こすと危険なガス、下流側のワークが圧力上昇で破壊されやすい場合、下流の真空チャンバーの圧力制御を早期に安定させたい場合に有効です。

ご説明した2つの方法はいずれもMFCのバルブ強制閉機能を使用しています。

ここで注意しないと行けないのは、前にもお話ししましたが、「MFCの“バルブ閉“は、ガスの完全なシャットオフ性能を保証していないものがほとんどだ」という事をここで忘れないようにしてください。今回のようにMFCの強制閉機能は便利に使用できますが、ガスの遮断という目的ではあくまでサブであり、必ず専門のストップ弁をメインとして使用して頂くようお願いいたします。

さて、次回からは、ゼロ点ズレが発生するメカニズムに関するお話です。それではまた。

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真・MFC千夜一夜物語 第54夜 ガスサージの防止方法 その2

MFC(マスフローコントローラー)の流量制御バルブが全開待機することで発生するガスサージの防止方法2回目です。

前回、ご紹介したようなバルブ強制開閉スイッチをもった周辺機器や制御パネルが無い場合は、一度プロにご相談くださいというお願いをしました。

「なぜそこまでDecoさん慎重になっているの?電気配線くらいできるよ!」とおっしゃる方も多くおいでかと思います。

ところが、このバルブ強制開閉機能に関しては、細心の注意が必要でして、お使いのMFCのメーカー、そして同じメーカーでも年代、型式によりこの機能の有無や、制御方法(強制開閉機能を司るMFC側のコネクタ形状やピン配列、そして電気信号の取り合い)が異なるからなのです。

コネクタ形状、ピン配列はメーカーで色々とあるのは仕方ないと思いますが、問題は電気信号の取り合い自体です。代表的な仕様は以下になります。

  バルブ開閉用ピンに+15Vを入力したら開、-15Vを入力すると閉

(ただし一部逆の仕様のメーカー製品あり) 

 バルブ開閉ピンとコモンを短絡して開、-15Vと短絡して閉

(これにも逆の仕様あり)

今でこそMFCも電気コネクタやピンアサインが整合されてきたイメージがありますが(ただ単にメーカー、型式が少なくなったとも言います)、過去のMFCは取り合いに関して共通仕様化が全く進んでおらず、各メーカーで個々に仕様設定をやっていた歴史もあり、またあるメーカー1つをとっても時代の推移や設計者が変わったり、ある時期で業界の多数派にあわせたり・・・という変遷もありました。

これらを正確に把握してシステムの改造を行うには、まずMFCメーカーさんとの強いパイプを持ったエンジニアさんでないと過去の経緯を確認した上で最適な改造を行うのは難しいでしょう。実際、メーカー側も企業統合の果てに旧式製品に関する仕様の記録などが失われてきているので、営業サービス拠点ではすぐには確認できないようなケースが発生しかねません。

 さて、バルブ強制閉機能を使用したガスサージ防止の具体的な方法です。

要は簡単。ガスを流さないときは、必ず強制閉スイッチでMFCの流量制御バルブを全閉にしてしまえばいいのです。

*プロセスによりますが、MFCと上下流の遮断弁との間のボリュームにガスが残らないような順番でバルブを閉めていく必要がありますので、ご注意ください。

この状態からのガス導入は、以下の流れです。

 MFCに流量設定信号を入力する

 ガスラインの上流バルブを開け、ガスをMFC手前まで導入する(MFC下流のバルブも開)

 MFCの強制閉モードを解除し、流量制御を開始す

ここで重要なのは、②と③の手順を間違わないことです。③→②でやってしまうと、MFCのバルブが全開になってしまい全く意味がありません。

次回はガスサージを防ぐもう1つの方法のご説明です。

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真・MFC千夜一夜物語 第53夜 ガスサージの防止方法 その1

 MFC(マスフローコントローラー)のゼロ点がマイナスにずれた場合に、流量制御バルブは最大開度=全開で待機してしまい、次にガスを流し出した時に、大量のガスが流れるサージ現象が起きてしまう・・・これはガスによっては大変危険なモードです。今回はこの問題への対策のお話です。要はガスを止めた際に、MFCの流量制御バルブが全開方向へいかせないようにするのが対策の肝です。

この対策としては2つあります。1つはMFCのバルブ強制閉機能を使う方法です。

たいていのMFCには、制御中でも流量設定信号による制御を無視して、流量制御バルブを強制的に開閉する機能が搭載されています。

このバルブ強制開閉機能は、それぞれ以下の用途で使用されます。

強制開機能=MFC内部のガスパージ、真空引き時の流路開放

強制閉機能=オーバーシュート防止、緊急時のガスライン閉止

殆どのMFCでは強制開閉機能を働かせるスイッチがどこかについているわけではありません。本来MFCは流量を遠隔制御するものですので、流量設定と一緒で、なんらかの電気信号をMFCへ送ることでこの機能を作動させる仕組みとなっています。MFCの電気接続用コネクタのいずれかのピン端子にその信号を受ける場所があるのです。

お手元の配管システムで、既にそこにスイッチと配線がしてあり、操作盤に開閉スイッチが設けられている場合や、またはメーカーさんやMFC周辺機器メーカーさんで提供されているMFC専用表示設定電源ユニットなら、この機能用のスイッチが装備されている場合もあります。

130520_04

問題は今まで、そういったスイッチ類が全く設置されていない状況でMFCを使用されている場合です。

その際はまず「プロ」にご相談頂いた方がよいかと思います。現在使用中のガス供給系の製造元、もしくはMFCから装置まで取り扱っておられる信頼できるエンジニアリング会社さんにご相談ください。Decoにご相談頂ければ,信頼できる方々をご紹介しますので。

 

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2013年5月20日 (月)

真・MFC千夜一夜物語 第52夜 ゼロ点のマイナス表示は要注意?

MFC(マスフローコントローラー)の流量が勝手にずれてしまう現象が発生してしまうゼロ点ズレ問題ですが、更にやっかいな事が発生します。

それはゼロ点がマイナスにずれた場合です。マイナスにずれる・・・と言っても、本来ガスが逆流でもしない限り、センサーの出力(流量)が0以下になるはずはありませんので、マイナスの表示自体、本来センサーが正常ならあまりお目にかからない事態です。

*実はガスの流れは止まっていても、MFCのセンサー管とバイパスを通じてガスが対流したりして、ゼロ点がずれる現象はあります。これ自体は不具合という訳ではありません。この現象のお話は、また別の機会に・・・

MFCは設定入力=流量出力になるようにバルブの開度を調整しようとします。ここでガスは閉止状態、MFCの設定入力=0、流量出力がマイナス(=ゼロ点がマイナスへシフト)状態になったらどうなるでしょう?

単純比較で0>マイナスですから、設定入力>流量出力と判断したMFCは「もっとバルブを開けよう!」とします。でも、もともとガスラインは閉止されているのですから、いくらバルブを開けても、ガスは流れて来ませんので、流量出力はずっとマイナスのままです。そうするとMFCのバルブはどんどん開いて最大開度=全開で待機になります。

そんな状態で改めてガスを流すと大変なことが起こるのは、前にもお話ししたかと思います。ガスの流れを感知してMFCのバルブは全開状態から制御に入りますが、制御に入ってバルブを閉じていくのと、実際のガスの流れにはタイムラグがあるので、既に大量のガスが全開状態のバルブを通り過ぎて流れていってしまった後になってしまうのです。

Zero_point2

                       

これこそ後の祭りですね・・・MFCを思うように制御できなくなること=ガスが制御できなくなることですから、ガスによっては大変危険な状態になる可能性があります。

ただ単に、「ゼロ点がマイナスの表示をしているなぁ・・」だけではなく、その事がMFCの流量制御にどういった影響を及ぼすのか?ご理解いただいているに越したことは無いと思います。どんなすごい機械でも、その特性を理解して人が制御して初めてこそ本当の力を発揮するものですから・・・さて、次回はこの困った現象に対する対策です。それではまた。

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真・MFC千夜一夜物語 第51夜 ゼロ点がずれると流量が狂う?

MFC(マスフローコントローラー)のゼロ点ズレのお話ですが、ことMFCにとってこれは一大事であります。恐ろしいことにMFCの設定信号と流量出力が一致していて、正常に動作しているように見えるにもかかわらず、実際は制御流量がずれてしまう、という異常状態が発生する・・・推理小説の完全犯罪のような恐ろしい厄介な出来事ですね!この現象をもう少し具体的にお話しましょう。

例えばフルスケール100SCCMMFCに設定5V(100%)を与えて100SCCMの流量を制御させていたとします。ここでMFCのゼロ点を-5%-5SCCMにずらすと、流量の基点となる0SCCMを表すポイント=ゼロ点がずれたのに対して、MFCの設定電圧は5V100%)=100SCCMから変わらないわけですから、当然のように変わらず設定電圧5V=流量出力電圧5Vになるように制御を続けます。この結果、100SCCM-(-5SCCM)105SCCMの流量が流れてしまうことになります。

*これはもう少し難しい背景があり、「ガス停止時のゼロ点ズレ量=ガス流入時のゼロ点ズレ量?」という検証課題を残していますが、ここではひとまず観念的に捉えて頂きたいので省きます。

Zero_point1

                       

本来は100SCCM流しているはずのMFCが、知らない間に105SCCM勝手に流してしまう・・・「精度±1%F.S.ならば99101SCCMの間にMFCの流量はあるよね!」と思っていたら、それどころでは無い、とんでもないズレ量ですね? しかも、ガスを流さない状態でチェックしない限り、ゼロ点がずれていることはわからないわけですから、余計に厄介です。

知らないうちに流量がずれる!これだけでも大問題なのに、ゼロ点がずれることによる問題は、更に別のやっかいな問題も引き起こします。次回はそのお話しです。

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2013年5月16日 (木)

真・MFC千夜一夜物語 第50夜 ゼロ点のズレは大問題?

MFC(マスフローコントローラー)で一番やっかいな問題はゼロ点ズレです。前回、「微少流量タイプは通常タイプよりゼロ点ズレが5倍大きい」というようなお話をしましたが、その実害に関して今日はお話しましょう。

MFCのゼロ点とは「ガスを完全閉止して流さない状態での流量出力値」のことであり、制御される流量が0ならば、当然ゼロ点も0になるべきものです。当たり前ですね?

ところが様々な原因で実際の流量は0なのに、出力は0にならない現象が発生します。これらは「ゼロ点シフト」「ゼロ点ズレ」「ゼロ点ドリフト」という言葉で表されますので、お聞きになられた方もおられると思います。

これがMFCの性能に及ぼす現象を図にまとめて見ますと、以下になります。

Zero_point

                       

もちろんMFC以外でも、色んな機器でゼロ点のズレは問題になります。特に計測機器では慎重に対応されています。MFCの場合は、更に問題として「ゼロ点のずれた状態の流量センサーから出力される流量信号によって、流体を制御してしまうこと」にあります。

そして一番タチが悪いのは「MFCが通常に制御している状態では、ゼロ点ズレが原因で制御されている実流量に影響が出ていても、それを検知することができない。」ということなのです。

設定信号と流量出力が一致しているにもかかわらず、制御しているガスの流量が密かにずれてしまっているという状態が発生する・・・これはMFCの本来の特性である「ある程度の温度、圧力変動が生じても一定の流量を制御する」が密かに破綻してしまっているということですから、大変恐ろしいですね。

 

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2013年5月13日 (月)

真・MFC千夜一夜物語 第49夜 微少流量MFCではセンサーのS/N比が悪化する? Part3

 

微少流量MFC(マスフローコントローラー)に関するS/N比(シグナル/ノイズ比)のお話の続きです。

前回はS/N比という言葉自体をご説明しました。これを第47夜でご説明した微少流量MFCに置き換えてましょう。

前々回のお話 で使った図を再掲載します。

                       

130509_01

この図を前回S/N比でご説明した際に使用した図に展開してみると以下のようになります。

130513_01

S/N比の説明で「信号の大きさが一定で、ノイズ(雑音)のレベルが大きくなるとSN比が悪くなる」事例をお見せしましたが、微少流量MFCと通常タイプを比較すると、逆に微少流量用センサーは通常タイプより信号(センサー生出力)は小さいので「信号の大きさが異なり、ノイズ(ゼロ点)は同じ」ということになります。通常タイプ並みの出力を得ようとすると、信号をアンプで増幅してやる必要がありますね。そうすると同時にノイズ(ゼロ点ズレ)も増幅されてしまうのです・・・

仮に通常タイプの1/5の信号しか得られないなら、それを5倍に増幅します、そうするとノイズも5倍になり、結果流量出力として見た場合、通常タイプよりS/N比が悪くなってしまうことになります。これをMFC的に表現すると、「微少流量タイプは通常タイプよりゼロ点ズレが5倍大きい」という事になります。

「ゼロ点ズレ」これはMFCにとっては、なかなか厄介な症状です。微少流量MFCを使用する際は、元々極少量のガスの精密制御を行う目的で選定されている筈ですので、プロセスに与える影響はそれでなくても大きいクリティカルな用途のはずですが、ゼロ点のズレ幅が大きいと折角の実験データも意味が無くなる可能性もあります。ご説明してきましたように微少流量MFCというのは、MFCのセンサー構造上かなりの無理をさせている特殊品が多い事をご理解頂き、使用される際にはメーカーさんに用途・目的に関する情報をある程度開示頂いた上で、しっかりとご相談頂いた方がよいとDecoは思っています。

では、次回からは「ゼロ点ズレ」に関して、何が厄介なのか?具体的なお話しをさせて頂きます。ゼロ点ズレは、もしかすると貴方のお使いのMFCの寿命がそう長くないことを知らせているのかもしれません・・

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真・MFC千夜一夜物語 第48夜 微少流量MFCではセンサーのS/N比が悪化する? Part2

 微少流量用MFC(マスフローコントローラー)のセンサーのシグナルとノイズの比率=S/N比は通常のMFCより悪くなってしまうというお話しの続きです。

ここで改めてS/N比(シグナル/ノイズ比)という言葉について、ご説明しましょう。S/N比、またはSN比とも記載されますが、この言葉のSはシグナル=signal(信号)、Nはノイズ=Noise(雑音)です。つまりS/N比とは信号・雑音比 (Signal-Noise Ratio)の事で、信号に対する雑音の割合を表します。このS/N比が高ければ信号をやり取りする際の雑音の影響が小さく、S/N比が小さければ影響が大きいとお考えください。

S/N比が大きいことを「S/N比がよい」という表現をすることがあります。この言葉はオーディオの世界ではよく使われます。昔ですとレコードをかけた際に、レコード針が盤上の埃を拾うと「ブチ!ブチ!」という音楽とは関係ない音が入ります。テープをかけると、再生したテープが送られる音(ヒスノイズ)が「シャーシャー」と聞こえていました。これらがノイズです。今ですと、デジタル化された恩恵でこういったノイズ成分は飛躍的に小さくなりましたが、例えばパソコンにヘッドホンを繋いで音楽を聴いてみると、やはり無音部分で「キュルキュル」といった雑音が聞こえます。これはデジタルノイズと言われるものの仕業です。

これらに対して演奏される音楽そのものが信号です。レコードやテープ、CDに入っている音楽信号はある程度不変であると仮定すると、きれいな音色で音を聴くにはノイズ成分をいかに抑えるか?で決まります。特にクラッシックやジャズのような1つの曲の中で音の強弱、大小、楽器の微細な表現があるジャンルでは、曲の静かな部分でノイズが入ると、下手すると曲のディテールがノイズに埋もれて聞こえなくなってしまうこともあるくらいです。

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つまりノイズを抑えるということは、S/N比が相対的に良くなり、オーディオでよく使うダイナミックレンジ(=認識可能な信号の最小値と最大値の比率)の拡大に繋がるのです。

今回は脱線してS/N比のご説明になりましたが、次回では微少流量MFCのセンサー構造に立ち戻ってご説明を続けましょう。それではまた!

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2013年5月 9日 (木)

真・MFC千夜一夜物語 第47夜 微少流量MFCではセンサーのS/N比が悪化する? Part1

今回から微少流量MFC(マスフローコントローラー)に関してのお話です。

MFCでのDecoの「お師匠様」は、音楽好きな人で自ら楽器を嗜む趣味を持っている方です。Decoも音楽は好きで、若いころオーディオに投資したものです。CDが出現する前の、アナログレコードやカセットテープ時代には、ブチブチ、シャーシャー雑音が入る中、音楽を聞いていました。ところがCD以降のデジタルオーディオの出現でノイズの小さい、きれいな音楽が、安価に楽しめるようになったのです。こういったデジタルオーディオの特徴は、決して音色自体が良くなるわけではなく、先ほどお話しした雑音(ノイズ)が飛躍的に小さくなることで、それに埋もれていたような小さな音まで明確に聴く事ができるようになった事だと思います。

  いきなり脱線してしまいましたが、実はここからのお話はこの音とノイズの関係=S/N比(シグナル/ノイズ比)という言葉が絡んできます。

前回お話しした微少流量MFCの構造その1で顕著になりますが、この方法では通常タイプと全く同じ構造のセンサー管を使用します。仮に本来5SCCM流れるべき構造のセンサー管で1SCCMを流した場合は、当然センサー出力は5SCCM流したときの1/5になります。MFCのセンサーは、2つの巻線の間で発生する熱の移動をブリッジ回路で数mVの電圧信号として取り出し、それを後段のアンプで増幅して5Vにするというお話を以前いたしました。ここで仮に通常タイプのセンサー出力が5Vであったとしたら、1SCCMをフルスケールとする微少流量MFCでは1/51mVです。つまりこのやり方ではフルスケール1SCCMのMFCが使えるセンサー出力=シグナルレベルは通常タイプの1/5をフルスケールに置き換えたものになってしまうということなのです。

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一方、MFCのセンサーは二対の巻線のバランスでブリッジ回路を構成されていますので、バランスが崩れた場合、その出力の基点となるゼロ点にズレが発生します。このズレ量は2つのヒーターが正常な抵抗値である限りそのバラツキは管理された数値内にありますので、センサー構造が同じ固体である限り本来は大きな差はありません。 

このバラツキは当然1SCCMフルスケールの微少流量用に使おうと、通常タイプ用に使おうと変わりません。ノイズレベル自体は変わらないのです。 つまり、微少流量MFCのセンサーではシグナルとノイズの比率=S/N比は通常のMFCより悪くなってしまうということですね。

では、SN比が悪くなると一体どういう問題が生じるのでしょう?その説明は次回。

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2013年5月 8日 (水)

真・MFC千夜一夜物語 第46夜 微少流量MFCの世界へ

大流量MFC(マスフローコントローラー)のお話から転じて、今回からは小さい方、微少流量用MFCに関してのお話です。

「微少流量用途にMFCを使いたいのですが、どこまで小さなレンジが作れますか?」というお問い合わせはDecoが営業時代にも結構頂いていました。

一般的な熱線式センサー方式MFCのフルスケールは1SCCM程度が下限になっています。動作範囲はフルスケールの1002%が一般的ですから、0.02SCCMが一応の最小制御流量となります。

「もう一桁小さな流量を!」というご要望はあるのですが、残念ながら色々な要素が阻害要因となり、実現できていません。(「うちは実現できているよ!」というメーカーさん おられましたら、恐れ入りますがDecoまでご連絡お願いします!)

 阻害要因=犯人の一人は、「センサー」です。

「MFCの熱線式センサーはそれ自体で510SCCM程度の流量を流します」というお話をさせていただきましたが、実はここに今回の解がありまして、センサー管に流れる流量をこれ以上は小さくできないのです。

熱線式センサーで「センサー管の外周に巻かれたヒーターから与える熱を確実に流体に伝えるために、MFCのセンサー管は内径0.40.8mm程度の細い筒に設計されています。

当然、この細管内の流れを臨界レイノルズ数以下の状態に保てる流量というのは、自ずと制限されてしまい、10SCCM程度の微少流量しか流せません。」というご説明を31でさせていただきました。

この説明を逆手にとって考えれば、10SCCM未満のフルスケールのMFCはバイパスレスでセンサー管だけで作れる・・・ということになります。では、フルスケール1SCCMMFCはどう作られているのでしょうか?基本構造はバイパスレスのセンサー管だけのシンプルな構成であることは、フルスケール5SCCMレベルのMFCと同じです。大きく分けて2つ方法があります。

1つは全く同じ構造のセンサー管(つまり5SCCM用のセンサーがついている)で流れてくる流量が1SCCMならば当然同じセンサーの熱移動量はフルスケール5SCCMの場合の1/5になります。ブリッジ回路から得られる出力も1/5です。その出力信号を後段で5倍に電気的増幅してしまえばいいという考え方です。

もう1つはセンサー管内にある種の流路抵抗を設置し、センサー管に入ってくる流量5SCCMを物理的に1/5に制約してしまい1SCCM用のセンサーに仕立て上げる方法です。(文章での説明上“1/5”にしてしまうと書いていますが、ここは必ずしもきれいな数字になる訳ではありません。)

もしくはこの2つの方法のハイブリッドというのもあります。

これらの方法の限界が、即ち微少流量MFCを作る上での制約になります。その制約は思わぬ問題を引き起こします。大流量よりもある意味難しいかもしれない微少流量MFCの世界にしばらくお付き合いください。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第45夜 大流量では楽をしたセンサーさんですが・・・

大流量MFC(マスフローコントローラー)に関するお話も今回で一区切りです。

一連のお話で、大流量用MFCを例題に取りながら、実はMFCの大きな要素である2つのご説明をさせて頂いています。

 バイパス(層流素子)の役割とは?

 バルブと圧力の関係とは?

MFCを構成する要素はセンサー、バルブ、バイパスの3つです。
もちろんそれらを制御する電気回路もとても重要なのですが、まずはMFCの基本であるこの3要素にその応用的なトピックを絡めながらご紹介し、その上で電気回路、通信、周辺機器といった分野への説明へ入っていきたいと思っています。

 さて、次は微少流量編です。

ここでは今回のシリーズではあまりお話に出てこなかった”センサー”が登場します。大流量編ではバイパスのおかげで、一般的な流量範囲と同じ環境を作ってもらえ同じように仕事ができたセンサーさんですが、微少流量ではバイパスの助けを借りることができず、大きなストレスを抱えることになります。

「たくさんある物を減らすことは容易でも、少ない物を増やす事は難しい」という事でしょうか?

あっ、これってお金と一緒ですね?

時間はお金では買えないという言葉がありますが、微少流量MFCは時間をお金で買って頂くことになっています。

大流量MFCが高額なのは、一目でわかります。大きくて頑丈そうで重そうですし、その分材料費が高いよね!と思えます。自家用車とトラックを比較しているようなものです。

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じゃあ、微少流量は軽自動車なの?その分安いの?というと・・・さに非ず。

むしろ微少流量MFCは自家用車両ベースでチューニングを施したレ-スカーとでも例えればいいのでしょうか?時間をかけてセッティングされた特殊なMFCなのです。

 次回からはそんな微少流量MFCの世界へ御案内します。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan

2013年5月 2日 (木)

真・MFC千夜一夜物語 第44夜 ガスが変わるとなぜハンチングが起こるの?

今回もMFC(マスフローコントローラー)のハンチング現象に関してお話しましょう。前回は、圧力条件のお話をしました。MFCは所定の差圧より大きな圧力で動作させると、時に制御不良になる可能性があるのですが、実は製作仕様にあるガス種と異なるガスを流した場合も同じような現象が起きることがあるのです。

 例えば窒素(N2)用のMFCに軽いガスの代表である水素(H2)を流した場合です。実はこのお話は、14夜 流量センサーvs流量制御バルブ続く15夜 水素vs窒素 で既にお話している内容の復習になります。これらのご説明では、主に流量センサーとしてのCFは似通っていても、流量制御バルブの特性は全く異なるガスとして、この2つのガスを題材にして一度ご説明しました。

ですが、実際に「手持ちのMFCを違うガスで使いたいけど・・・」というお問い合わせは非常に多いものですので、再度ハンチングという現象面からご説明をさせて頂きます。

一般にH2は非常に流れやすいガスですから、H2用のMFCはバルブオリフィスを同じ流量のN2用より小さい径にして製作されます。その逆でN2用に製作されたMFCにH2を流すと、同じバルブ開度でもかなり多くガスが流れてしまいます。ここで下図のような差圧が大きい時の現象と似通った現象がおきます。

Valve3

本図のバルブ制御電圧と流量の関係は、あえて直線で表しています。実際はこのようなきれいな直線にはなりません。またN2H2の比率も正確な値ではありません。あくまで説明用の観念図とお考えください。

同じ径のオリフィスを使用して流量を制御するには、H2だとバルブ制御電圧の分解能的にかなりつらい条件になるのがおわかりいただけると思います。流量信号と流量設定信号を比較し、同値になるよう開度を制御するはずのMFCですが、図にあるようにガスの特性の差から、非常に狭いレンジでの制御を強いられることになり、やはりハンチングが発生してしまいます。

こういった場合の対処方法は・・・H2を使うのをやめてください!メーカーの保証ガスではありません!というのが大前提ですが、それでは身も蓋もないですね。あくまでそうなってしまった際の応急処置としてお話しします。

対処方法は前回と同じです。H2ガスのレギュレーター(調圧器)を操作して供給圧を可能な範囲で下げられるところまで下げてもらい、差圧条件だけでも楽にしてもらえると、MFCの流量制御が安定する可能性があります。

または設定流量値をもっと大きくしてもらうのも手ですね。

 もちろん本来は、ガス種にあった仕様のMFCを購入して、使用していただくのがベストです。Decoがこういった使用方法を推奨するわけではございませんので、呉々もご注意下さい。

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真・MFC千夜一夜物語 第43夜 差圧が大きいとなぜハンチングが起こるの?

前回のお話の補足としてMFC(マスフローコントローラー)がハンチングといわれる現象を起こす原因をお話しましょう。

 MFCは流量センサーで流体を計った流量出力信号と、与えられた流量設定入力信号を比較し、制御バルブの開度を常に適切な位置に調整することで、2つを同値にするよう制御しているというお話は、何度かさせていただいたと思います。ハンチングは、その制御が何らかの原因で成立しえない場合に発生し、具体的にはMFCの流量出力が激しく振れ、実際の流量制御もそれにともない全く安定していない現象をいいます。

 ハンチングの発生原因の中でも結構多いのが、差圧が大きくなったことでバルブ制御の分解能の限界から、うまく制御できなくなって発生するものです。

Valve2_2

本図のバルブ制御電圧と流量の関係は、あえて直線で表しています。実際はこのようなきれいな直線にはなりません。あくまで説明用の観念図とお考えください。

上図を見ていただくとわかりやすいと思うのですが、バルブオリフィスサイズが固定で、流量制御バルブ制御電圧を変化させることでのリフト量を可変し、流量調整を行っている場合、仮にリフト量が一定ならばバルブ前後の差圧が大きいほど流量は多く流れることになります。したがって差圧が大きくなるとMFCはどんどん小さなバルブ開度で流量制御をしなくてはいけなくなります。

言い換えるならバルブリフト量=バルブ制御電圧領域の全てを流量制御に使えなくなって、下の方の狭いレンジで制御を強いられることになるのです。そういった状態でMFCはがんばって制御しているのですが、バルブ電圧をある割合変動させた際のリフト量は一定なのにもかかわらず、リフト量の変動に対する流量のそれの割合は差圧の拡大に伴い大きくなっていますから、流量を安定させる為のバルブリフト量の制御がどんどん難しくなっていきます。そして、ある限界に達すると、調整不可能=ハンチングとなるのです。

自分の力をフルには発揮できない、どちらかというと苦手な環境で、非常にナーバスな仕事を続ければ、ストレスで人間も参ってしまい、一時的な不調に陥ることもあるでしょう。(Decoもそうでした)MFCも同じだと考えてあげてください。

こういったハンチングが発生した場合の対応を最後にお話ししておきます。

ハンチングが発生したら、そのガスラインのレギュレータ(調圧器)からの供給圧を低くすることで解決できることが多いです。MFCが電気的に故障していたらだめですが、MFC自体が故障したわけではなく、差圧が大きくて制御が辛くなっているだけならば、差圧の小さな状態にしてやれば余裕を持って制御できるようになりますので・・・

 ハンチングは、圧力の変動だけではなく、ガスを変えた場合も実は発生します。次回はMFCにとっての問題児的存在?である「水素」をお迎えして、今回の応用編のお話をしましょう。それでは!

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